【放課後のさくら】執筆ノート
放課後のさくらについて思ったことや心掛けたこと。
ネタバレを含みます。
僕は売れない作家です。作家と言っても同人業であり、特段収益化の目処は立っていませんが。
今回はそんな執筆業の中で唯一成功した作品『放課後のさくら』の小話だったりを書いていこうと思います。
放課後のさくらについて
この物語はとある学校に通う二人の少女の恋愛についての物語なのですが、原案自体は私ではありません。フォロワーの水瀬莉雨(みなせりう)が何気なく呟いた300文字程の投稿を拾い上げ、どうにか「これを私に書かせてくれ」と懇願した所快諾を頂いたので執筆した作品です。
作品のストーリーを大まかに説明すれば『理解されない恋愛を続ける彼女達の苦悩、そして選んだ道』と言う感じです。作品についてはこちらから確認できますので良ければ読んでみてください。
執筆するにあたって気を付けたこと
この作品を書くにあたって色々なギミックや心掛けなどを細かく考えたのですが、ここから先はネタバレを含みますのでご注意下さい。
さて、まずこの作品は一人称視点と三人称視点が織り交ぜられた作品になります。視点の詳しい説明については省くのですが、簡単に言えばメインストーリーは憂節みくりの視線、サイドストーリーは三月ひな寄りの観測といった感じになり、みくりストーリーとひなのサイドストーリーでまとめて一つの章になっています。
ここで一つ迷ったのが、原案との剥離でした。如何に原案をフィーチャーしながら自分の小説に落とし込むかと言った所です。これがかなり難しく、実際に出来上がった原稿を確認してもらい解釈一致と返信が来るまでヒヤヒヤしていました。と言ってもこの作業も第一章までの作業で、それ以降は完全に私が一人で書き上げた作品になるのですが。
伝えたかったことと、伝えたくなかったこと
この作品の後書きでも書いたのですが、私の中ではこの作品を通じて同性愛の是非を問う訳ではありませんでした。これだけを言うと炎上しかねないと思うので付け加えますが、同性愛自体には私は良い印象を持っています。何故ならば私のまわりには同性愛者が数人居るのもありますし、わざわざ迫害する意味もなければ、受け入れるメリットしか無いからです。
さて、ではこの作品で何を伝えようかとしたと言えば。どちらかと言えば理解されない恋をテーマにして書いた所が私の中では強いです。
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理解されない恋と言うのは本人達にとっては凄い苦痛で、それでいてまわりに打ち明けられるわけでもなく。そして、まわりからすればバレバレだったりする地獄のような恋なのですが、私はそれをうまく表現する題材がありませんでした。どうしてもロミオとジュリエットのような物になりがちなのです。
なので、今回のネタはとても良いネタでした。同性愛と言うカモフラージュを入れながら
ストーリー展開について
みくりのストーリーに関してはメインストーリーとなりますのでみくりを通して二人の交流や喜び、絶望などを描いてきました。ここの部分はみくりの視点だけなので、ひなが何を考えているか等は一切伏せられた状態で、とにかくあった出来事に関して連ねています。
ひなのサイドストーリーに関しては小話と言うか、物語に関係あるけども少し別のテイストを入れたくて、あえて三人称視点で描きました。
これはある種のブレイクであり、緊張したメインストーリーのテンションを解放させるために入れたものです。
最終章の閑話休題(正確には親愛なるあなたへですが)だけ、ひなの手紙と言う風に装い読者を殺しに行きました。この展開については一番最初のプロットに真っ先に書かれたくらいには私の中では採用が決まっていて、それでいて読者を殺すギミックでありました。
書籍化のお話
今作が書籍化した要因の一つとしてこし氏が「漫画として書いて良いか?」と言うお声掛けをしてくれたので、「その代わりに小説の書籍版を出すから表紙を描いてくれ」と言うトレードが成立したからでした。
その時点でPVは既に1,000を越えようとしていて、このペースで行けば数冊刷ったら楽しいことになりそうだなと言う構想が膨らんでいたのもあります。そんなこんなでキャラデザの案自体は決まっていたので丸投げして表紙のデザインをお願いしました。結果として素晴らしい物が帰ってきたので大満足です。
結果として15部刷ったものが完売するくらいには好評で、もしかしたら今後第2版が刷られる可能性もあるかも知れませんし、無いかも知れませんが、初回限定版の特典で数多くの読者をギミックで仕留めることが出来たのもまた満足です。ふはは、私がただ黙って送るわけがなかろう!
KDPへの配信
これは完全に深夜テンションで行った作業なのですが、KDP(Kindle Direct Publishing)を利用してAmazonのKindleに出品する事もできました。
作品はストアから購入(500円)またはKindle Unlimitedに登録さえしていれば無料でお読みいただけます。Kindleで読みたい方は是非。
元々ePubを作るスキルを持ち合わせていたので、作業自体はスムーズで、どちらかと言えばユーザー登録の方がしんどかった感じがあります。
ただ、このユーザー登録も一度してしまえば後は本を追加するだけなので今後別作品の改稿が終わり次第どんどん乗っけてあわよくば印税収入を少しでも得れたらなぁと思います。最低出金金額が10,000円なので到底難しいですけど。
閑話休題
そんな感じで『放課後のさくら』と言う作品は紡がれていきました。
また色々な人と合作してみたいですし、この様な形で出版していって少しでも自分の創作意欲を満たしていければと思います。
それではまた別の物語でお会いしましょう。